会社設立から半年が経過して、ある程度今期の着地の売上や利益が見えてきました。

ありがたいことに当初の売上予測より若干の上振れをしましたので、少し余裕も出てきて色々と節税策について調べています。

知り合いの経営者に聞いたところ、まずは小規模企業共済倒産防止共済(経営セーフティ共済)などの共済が良いとアドバイスをもらい、小規模企業共済への加入を検討しています。

小規模企業共済は経営者個人が加入するものなので、会社の法人税の節税ではありません。

ですが、当社のような個人でやっている法人の場合には、役員報酬をコントロールして個人と法人の税金を最適化していると思いますので、個人の方の節税を考えた時に小規模企業共済が有効です。

結論から言うと加入しようと思っているのですが、検討の際に色々と調べたので、自分なりに小規模企業共済のメリット、デメリット、節税できる額などを見ていきたいと思います。

小規模企業共済の概要

項目 内容
運営 独立行政法人中小企業基盤整備機構
掛金 全額所得控除
掛金月額 1,000円から70,000円
500円ごとに自由に設定可能
加入できる人 常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業者又は会社の役員
業種によっては20人以下の会社でも可
掛金の納付方法 預金口座振替での払込み
月払い、半年払い、年払いが可能
給付金の受給時期 ・事業の廃業時
・退職時
・事業を第3者へ譲渡時
給付金の課税 退職所得または一時所得
給付金の受取方法 ・一括
・分割(10年、15年)
・一括と分割の併用
解約 1年以内の解約は掛け捨て、20年以上で100%
貸付制度 積み立てた金額の範囲内で貸し付けを受けられる

小規模企業共済は独立行政法人中小企業基盤整備機構という国が全額出資する機構が運営する共済です。

ちなみに、倒産防止共済(経営セーフティ共済)も独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。


掛金が全額所得控除

小規模企業共済の最大の特徴は、「小規模企業共済等掛金控除」として掛金が全額所得控除となる点です。

所得から控除されるので、控除された金額分は税金がかからなくなるため、「掛金×税率」の分だけ節税のメリットがあります。

月額の掛金は1,000円から70,000円の間で、500円単位に自由に設定が可能です。

月に70,000円まで拠出可能ですので、上限まで拠出をすると70,000円×12ヶ月で年間84万円まで所得控除することができます。


5人以下の法人の役員や個人事業主が加入できるので、小さな会社の節税策としてはかなりメジャーですね。


拠出した共済金は退職時に受け取ることができる

拠出した掛金は退職時や廃業時に受け取ることができ、一括、分割、一括と分割の併用という形で受け取ることができます。

一括で受け取った場合には税法上も退職金扱いとなり、控除額の大きな退職所得として課税がされるので受取時の税金は安くなります。

掛金の拠出時には全額所得控除でも、受取時に課税がされるので、ある種の課税の繰り延べではありますが、受取時の控除も大きいため、長い目で見ると支払う税金は少なくなります。


20年以内に解約すると元本割れする

途中で解約する場合は、掛金の納付月数に応じて解約返戻率が変わり、80%から120%となっています。

掛金の100%の金額が戻ってくるのは240ヶ月(20年)となっていますので、20年以内に解約した場合には元本割れすることになります。


拠出した掛金の範囲内での貸付制度がある

また、拠出した掛金の範囲内での貸付制度があります。

金利はかかりますが、0.9%から1.5%と低金利でお金を借りることができます。

このように基本的には退職金という目的上、拠出した掛金は長期で共済に預けることが前提の商品ですが、もしもの時にはキャッシュを調達する手段もあります。


小規模企業共済のメリット

  • 掛金が全額所得控除となる
  • 受取時に退職所得とすることができる
  • 掛金の範囲内で貸付制度がある

小規模企業共済のメリットは、何と言っても掛金が全額所得控除の対象となる点が大きいです。

みんなこのメリットのために加入しているようなものですね。

受取時に課税はされますが、一時金で支払うことで退職所得にすることができ、大きな控除を受けることができます。

退職所得控除は4年経てばまた使えるようになるので、複数の会社を経営している人は何度も退職所得控除を使うという人もいそうですね。

とにかく受取時の税金を安くすることができるのもメリットです。

また拠出期間中にお金が必要になった時には、貸付制度があるので、もしもの時にも一応安心できるというのも良いですね。


小規模企業共済の節税効果

掛金が全額所得控除となる小規模企業共済の節税メリットは、具体的にいくらくらいになるのか計算してみたいと思います。

まず平成28年度の所得税の税率は以下のようになっています。

■所得税の税額

課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 427,500円
695万円超900万円以下 23% 636,000円
900万円超1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

税率は5%から45%となっています。

最大で年間84万円を所得控除できるので、84万円が所得控除された場合の節税メリットは税率ごとに以下のようになります。


■税率ごとの節税メリット

税率 節税額
5% 42,000円
10% 84,000円
20% 168,000円
23% 193,200円
33% 277,200円
40% 336,000円
45% 378,000円

年間に10万円から30万円近くが節税されるのは大きいですね。

上記は所得税だけなので、住民税(一律10%)も合わせるとプラス84,000円がお得になることになります。

当社で出している役員報酬を考えると、税率20%くらいですので、

168,000円+84,000円=252,000円

252,000円が毎年節税できることになります。

これを20年継続したとすると・・

252,000円×20年=5,040,000円

500万円も節税できることになります。

最終的に退職所得や一時所得で課税されるとしても、節税メリットの方が大きいといえるでしょう。


小規模企業共済のデメリット

  • 元本割れのリスクがある
  • 1年未満で解約すると返戻金は0円
  • 元本割れしないためには20年拠出する必要がある

メリットの多い小規模企業共済ですが、デメリットも少なからずあります。

まず元本割れのリスクがあることです。

小規模企業共済は任意解約する場合に掛金の納付月数を元に返戻率が決まっており、100%が戻るには20年間の納付が必要となります。

つまり、20年経過より前に解約する場合には元本割れをすることになります。

返戻率は以下のようになっており、7年だと80.5%、10年未満で85%、15年で92.5%、20年で100%となります。

12月以上 84月未満:80.00%
84月以上 90月未満:80.50%
90月以上 96月未満:81.25%
(以下6ヶ月ごとに0.75ポイントずつ割合が増加)
240月以上 246月未満:100.00%
246月以上 252月未満:100.25%
252月以上 258月未満:100.50%
(以下6ヶ月ごとに0.25ポイントずつ割合が増加)
468月以上 474月未満:109.50%
474月以上 480月未満:109.75%
480月以上:110%に、480月を越える6ヶ月ごとに0.25%ずつ加えた割合(上限120%)

1年未満で解約した場合には、返戻金は0円となりますので特に注意が必要です。

100%のお金が戻ってくるには20年が必要となりますので、長期で戻ってこなくても良いくらいの余裕がある金額を拠出していく必要があります。

明日どうなるかわからないくらいの事業では、ちょっと拠出するのに躊躇してしまいますよね。

当社も安定した事業というわけではないので、この点が一番気になりました。

ただ、貸付制度もありますし、このままだと税金がかなり高くなってしまいますので、それほど負担にならない範囲で始めたいと思います。

掛金減額が柔軟にできるようになった

なお、これまで小規模企業共済には掛金の減額の際に、掛金の減額理由の確認がされ、以下のようなやむをえない理由が認められた場合のみ減額が可能でした。

・事業経営の著しい悪化
・病気または負傷
・危急の費用の支出

しかし、平成28年4月からは、減額理由の確認が不要となり、申込をすればいつでも掛金の減額が可能になりました。

そのため、これまで小規模企業共済のデメリットとして言われていた「掛金の減額がしづらい」という点はデメリットではなくなりました。

掛金を途中で引き出すことができないのは、お金を手元に置いておきたい会社経営者としてはつらいものですが、上述した貸付金制度があり、掛金の減額もこれまでより柔軟にできるようになったので、それなりに余裕がある時には節税のために小規模企業共済に加入して掛金を拠出するのも良いのではないかと思います。


まとめ

小規模企業共済は掛金が全額所得控除となり、小さな企業にとっては鉄板の節税策です。

年間84万円まで所得控除できるので、税率によって10万円から40万円以上を毎年節税できることになります。

共済金の受取時には課税されることになりますが、一時金として受け取ることで控除の大きい退職金として受け取ることができるので、拠出期間中の節税効果の方が大きく長い目で見ると得することができます。

一方で、20年以内に解約すると元本割れすることになるので、長期で運用に回せるお金を小規模企業共済に入れていく必要があります。

拠出した掛金は確実にキャッシュアウトすることになるので、手元にお金を残したい人にはあまり向いていません。

拠出した掛金の範囲内でお金を貸してくれる貸付制度もありますので、その辺りでバランスを取って、出せる範囲で掛金を拠出して節税していきたいですね。

短期目線(短期のキャッシュアウトと貸付制度のバランス)と長期目線(所得控除による節税効果)を見極めて、うまく活用していきたいですね。

当社では、キャッシュをあまり必要としないため、所得控除による節税効果を重視して、小規模企業共済に加入することに決めました。


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