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社会保険に加入すると役員報酬の額に応じて、健康保険料と厚生年金保険料を負担する必要があります。

令和3年の健康保険料は9.84%、厚生年金保険料は18.3%なので、合計すると役員報酬の3割弱を社会保険料として支払う必要があります。

健康保険料と厚生年金保険料はともに労使折半なので半額を会社が負担します。

個人でやっている法人だと会社負担分も実質自己負担と同じなので、結構負担額は重いです。
(会社負担分は経費になるなどありますが)

役員報酬を考える際にも重要なので、そもそもの社会保険料の負担率を確認しつつ社会保険料から役員報酬を考える際のポイントをメモしておきたいと思います。


社会保険料の料率

会社設立 役員報酬

社会保険料は都道府県や年によって異なりますが、例として東京都の令和3年度の社会保険料の料率は以下のようになっています。

■令和3年度の健康保険・厚生年金保険一覧(東京都)
(介護保険第2号被保険者に該当しない場合)

報酬月額 健康保険料
(労使合計)
厚生年金保険料
(労使合計)
社会保険料が
報酬に占める割合
料率 9.84% 18.300% 28.14%
63,000円未満 5,707円 16,104円 35%
63,000-73,000円 6,691円 16,104円 31%
73,000-83,000円 7,675円 16,104円 29%
83,000-93,000円 8,659円 16,104円 27%
93,000-101,000円 9,643円 17,934円 27%
101,000-107,000円 10,234円 19,032円 27%
107,000-114,000円 10,824円 20,130円 27%
114,000-122,000円 11,611円 21,594円 27%
122,000-130,000円 12,398円 23,058円 27%
130,000-138,000円 13,186円 24,522円 27%
138,000-146,000円 13,973円 25,986円 27%
146,000-155,000円 14,760円 27,450円 27%
155,000-165,000円 15,744円 29,280円 27%
165,000-175,000円 16,728円 31,110円 27%
175,000-185,000円 17,712円 32,940円 27%
185,000-195,000円 18,696円 34,770円 27%
195,000-210,000円 19,680円 36,600円 27%
210,000-230,000円 21,648円 40,260円 27%
230,000-250,000円 23,616円 43,920円 27%
250,000-270,000円 25,584円 47,580円 27%
270,000-290,000円 27,552円 51,240円 27%
290,000-310,000円 29,520円 54,900円 27%
310,000-330,000円 31,488円 58,560円 27%
330,000-350,000円 33,456円 62,220円 27%
350,000-370,000円 35,424円 65,880円 27%
370,000-395,000円 37,392円 69,540円 27%
395,000-425,000円 40,344円 75,030円 27%
425,000-455,000円 43,296円 80,520円 27%
455,000-485,000円 46,248円 86,010円 27%
485,000-515,000円 49,200円 91,500円 27%
515,000-545,000円 52,152円 96,990円 27%
545,000-575,000円 55,104円 102,480円 27%
575,000-605,000円 58,056円 107,970円 27%
605,000-635,000円 61,008円 113,460円 27%
635,000-665,000円 63,960円 118,950円 28%
ボーダーライン(厚生年金保険料の上限)
665,000-695,000円 66,912円 118,950円 27%
695,000-730,000円 69,864円 118,950円 26%
730,000-770,000円 73,800円 118,950円 25%
770,000-810,000円 77,736円 118,950円 24%
810,000-855,000円 81,672円 118,950円 23%
855,000-905,000円 86,592円 118,950円 23%
905,000-955,000円 91,512円 118,950円 22%
955,000-1,005,000円 96,432円 118,950円 21%
1,005,000-1,055,000円 101,352円 118,950円 21%
1,055,000-1,115,000円 107,256円 118,950円 20%
1,115,000-1,175,000円 113,160円 118,950円 20%
1,175,000-1,235,000円 119,064円 118,950円 19%
1,235,000-1,295,000円 124,968円 118,950円 19%
1,295,000-1,355,000円 130,872円 118,950円 18%
1,355,000円以上 136,776円 118,950円 19%

参考:協会けんぽ

会社負担も含めてではありますが、社会保険料は報酬額面の3割弱の負担となるため、かなり負担が重いことがわかりますね。

しかも社会保険料は改正されるたびに負担が重くなっていますので、恐ろしいですよね。。


社会保険料から役員報酬の水準を考える

源泉所得税 納付

  • 月66.5万円で厚生年金保険料の上限に達する
  • 報酬月66.5万円以上は負担だけが増えていく
  • 税率も上がっていく水準なのでボーダーラインとなりやすい

そのため、社会保険加入後は社会保険料も考慮して個人に出すお金(役員報酬)を決定していく必要があります。

なお、報酬が66.5万円以上になると負担率が下がるように見えますが、これは厚生年金保険料に上限があるためです。

厚生年金は納めた保険料に応じてもらえる年金額が増えていくため、保険料を払った分がすべて損なわけではありません。
(税金などのように絶対少ない方が良いよねというものでもない)

むしろ、会社の経費枠を使って将来の年金を増やすことができると考えることもできます。

ただ、健康保険は保険料が上がっても保障に変化はないので単純に負担だけが増えていきます。

自営業同士で話をしているとたまに、

役員報酬を60万以上払っているのは損。(バカ)

などと言われることもありますが、これは厚生年金保険料の上限に着目して言っているのですね。

健康保険料の保険料率は9.84%となっているので、66.5万以上の役員報酬を支払う場合は約10%の健康保険料を余計に払うことになる点を理解しておく必要があります。

月額66.5万以上だと年800万円となるので、

所得税の税率も所得ベースで

  • 695万円以上で23%(+住民税約10%)
  • 900万円以上で33%(+住民税約10%)
  • 1,800万円以上で40%(+住民税約10%)
  • 4,000万円以上で45%(+住民税約10%)

とぐんぐん上がってくる金額でもあります。

そのため、厚生年金が上限に達するあたりが法人税を払ってでも法人に残しておいた方が手元に残るお金が多くなる水準と言えそうです。

単純に税率だけ見ると課税所得で900万円を超えない水準で、給与所得控除や諸々控除300万円弱を加味して1,200万円くらいかなと考える人がいるかもしれませんが、その場合健康保険料の負担であまり得できていない可能性があります。

参考:国税庁(No.1410 給与所得控除)


厚生年金の上限は超えずに法人にお金を残す

健康保険料は労使折半なので、半分は経費になるなど色々と論点がありますが、とりあえず私の場合は厚生年金保険料の上限に達したら役員報酬は上げずに法人に残すような方針でやっています。

このあたりはややこしいので、詳細は税理士に計算をお願いすることになります。

ただ、厚生年金保険料の上限となる月66.5万円、年収で800万円くらいに一つ壁があると覚えておくと、無駄に役員報酬で悩む時間が減って良いかもしれませんね。

ではでは




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