会社設立時に悩む事項の一つに役員報酬をいくらにするかがあると思います。
私も会社設立時に悩んだ人間の一人ですので、基本的な役員報酬の考え方と実際に私がどのように考えて役員報酬を決めたのか紹介したいと思います。
役員報酬の考え方
役員報酬は期のはじめから3ヶ月以内に決めないとならず、基本的には事業年度ごとに一度しか決めることができません。
そのため、役員報酬を低く設定すると、会社に利益が大きく出て法人税を多く取られることになります。
逆に役員報酬が高すぎると会社が赤字になってしまい、個人の所得税や住民税が高くなるというデメリットがあります。
税金を最も安くするには、個人の税率が法人税を上回らない範囲であれば、なるべく役員報酬を高くして法人税を0にするようにします。
個人の税率が最高税率になると、所得税や住民税の税率の方が法人税より高くなりますので、法人税を支払って会社にお金を残したほうが税金は安くなります。
ただし、役員報酬を高くするとその分社会保険料は高くなりますし、法人にお金を残しても個人で好きに使えるわけではないので、どうするのが一番得なのかは考え方や戦略にもよります。
役員報酬を決める際の注意点
- 役員報酬が安すぎると法人税が高くなる
- 役員報酬が高すぎると所得税が高くなる
- 役員報酬が高すぎると会社が赤字になる
役員報酬を決める際の注意点として、役員報酬を安すぎると法人税が高くなってしまう点です。
期初に役員報酬を決めたものの、予想したよりも大きな利益が出ると、法人に利益が残ってしまい法人税をがっぽり持っていかれてしまいます。
利益が残らないように役員報酬を設定しないといけません。
ただし、逆に役員報酬が高すぎると所得税が高くなってしまいます。
上述したとおり、個人の税率は累進課税で所得が増えるほど税率が高くなり、一定の税率の法人税と比べると、所得が増えてくると所得税、住民税の方が高くなってしまいます。
個人の所得税の税率は5%から45%となっており、住民税の税率は一律10%ですので、合計で15%から55%となります。
■課税所得別の税率
課税所得 | 所得税率 | 住民税率 | 合計 |
---|---|---|---|
195万円以下 | 5% | 10% | 15% |
195万円-330万円 | 10% | 10% | 20% |
330万円-695万円 | 20% | 10% | 30% |
695万円-900万円 | 23% | 10% | 33% |
900万円-1,800万円 | 33% | 10% | 43% |
1,800万円-4,000万円 | 40% | 10% | 50% |
4,000万円超 | 45% | 10% | 55% |
法人税の税率は会社の規模によっても異なりますが、一般的な普通法人で資本金1億円未満の場合は25.5%になります。
(所得800万円以下の場合は15%)
個人の税率が30%を超えるのは結構すぐですので、税率を考慮しつつ個人にどれくらいお金を残したいかを考えて役員報酬を決める必要があります。
また役員報酬を高くしすぎると会社が赤字になってしまうリスクもあります。
会社が赤字だと、銀行から融資が受けられなくなったりと様々な悪影響があります。黒字にしておきたいという人は会社の経費で大きな役員報酬は慎重に決める必要があります。
このように役員報酬は高すぎても低すぎてもデメリットがありますので、ほどよい報酬水準を見極めて決める必要があります。
なかなか難しいので、売上の大きい繁忙期を期初にもってきて少しでも役員報酬決定時に売上や利益予測を立てやすくするという工夫も必要になります。
会社設立初年度の役員報酬の決め方
会社設立から初年度の役員報酬は、利益の予想が難しい場合も多いと思いますが、現状の利益水準や堅めの成長予測をもとに役員報酬を決めるのが無難といえます。
私の場合は、現時点の利益水準よりやや増えると予想した上で、最適な報酬となる(法人税が0になる)役員報酬を決めました。
順調に成長してしまうと法人税を多く支払うことになりますが、そこは会社が予想以上に成長したと考えて喜ぼうと思います(笑)
このあたりは税理士に相談しつつ決めていかれるのが良いと思います。
役員報酬は会社設立から3ヶ月で決めるのが無難(色々考え方はあるようですが)ですので、会社設立後すぐか会社設立前に事業計画を作成して税理士に相談した上で役員報酬を決められると良いと思います。
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