株式会社では社長の給料となる役員報酬は1年に一度決めて、毎月一定額としないといけません。
新規設立する場合には初年度の利益がどれくらいになるかわからず、多くの会社では利益が出づらいので、役員報酬をゼロにして貯金を切り崩しつつ生活している人も多いと思います。
役員報酬はゼロにすることで会社からお金が出ていくことはありませんが、負担の重い社会保険料はどうなるでしょうか。
役員報酬ゼロの場合の社会保険料
結論から言うと、役員報酬ゼロの場合でも社会保険料は発生します。
社会保険料は健康保険料と厚生年金保険料の2つからなりますが、これらはそれぞれ報酬月額という給料の額によって決まるようになっています。
具体的な料率や報酬の額は自治体や年によって変わりますが、例として平成28年度の東京の社会保険料の額を見ると、最低でも健康保険料は5,776円(報酬月額63,000円未満)、厚生年金保険料は17,817円(報酬月額101,000円未満)となります。
それぞれ労使折半となりますが、一人株式会社であれば会社の負担も個人の負担も同じ財布から出るようなものですので、合計で23,593円を負担する必要があります。
半額は個人が支払う必要があるため、役員報酬をゼロにしていると、会社から収入はないのに社会保険料負担だけが増えるということになります。
社長の手出しということになりますので、役員報酬がゼロだと生活費のほかに社会保険料の負担も増すことになります。
役員報酬がゼロでも多少払っても同じく社会保険料の負担があるので、社会保険料分くらいの多少の役員報酬はつけておいた方が何かとメリットがあります。
役員報酬ゼロのデメリット
役員報酬をゼロにすると金融機関や税務署に目をつけられるきっかけにもなりかねません。
また取引先を信用調査などにかけている会社から見ても悪影響になります。
役員報酬ゼロというのは通常であればありえませんので、よほど儲かっていないか過度な節税などを考えて調整しているかなど、様々な悪い見方をされてしまいます。
実際にそこから税務調査に入られた人もいますし、融資や取引が流れてしまった人もいます。
あらぬ疑いをかけられてはたまりませんし、創業間もない会社だと厳密に見られると困る点も多々あります。
要は役員報酬ゼロというのは決算書上、とても悪目立ちすることになるので避けるのが無難です。
月に5万円くらいでも役員報酬を出していると、社会保険料の月額報酬ギリギリで役員報酬を出している意図が伝わりますので、目をつけられるリスクはグッと減ります。
月額報酬の下限(上記の平成28年東京の場合は63,000円)としておくことで、負担額は変わらずにリスクを下げることができるので、一般的には多少の役員報酬は出したほうが良いと言われています。
会社の状況によってはわずかな役員報酬でも出すのが難しいというケースもあると思いますが、税理士などに相談をして、中長期的に最も有利な選択をしていきたいですね。
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